気のせいか、

鏡を覗き込む度に、自分が綺麗になってく。

これって、この、鏡の魔力?


ある日、

三条が、あたしを待ち構えていた。

「あのさ、オレと付き合わない?」

・・・どうやら、鏡の魔力は三条にも影響を与えたらしい。

あたしはニッコり笑った。

三条のすぐ後ろを、郁ちゃんが通りかかったのだ。

あたしはそっちは見ないようにして、

「ごめん。気になってるヒトがいるから、三条くんとはつきあえないわ」

郁ちゃんに聞こえるように、ゆっくりハッキリ言った。

彼女は、三条の心変わりよりも、あたしなんかに彼氏を取られそうになったことに、腹を立てるだろう。

自分が一番のヒトだから。

あたしはきびすを返して、歩き出した。