腕に鳥肌が走る。

ざわっとした。

「これ、あげる」

彼はあたしの手に、何かを押し付けた。

見ると、鏡。

木の枠が、とても細かく細工されたシロモノ。

ノートくらいの大きさ。

自分が、気のせいか、いつもよりいい感じに写ってる。

鏡との相性みたいなものがあるんだろうか。

何だか、心臓がバクバクしてきた。

『もらえません』

とか何とか言うべきなのかもしれないけど、あたしは何だかそれを手離したくなくなった。

「どうぞ。遠慮なく」

「うん」

あたしはうなずいて、鏡をもらうことにした。