「……今日の雨、なかなか止まないね」
お箸を持ったまま、私たちの席と反対側、グラウンドに面した窓を見遣る由奈。
激しくはないけれど、むやみやたらとライト等の光を反射させる、細々とした雨。風は伴わず、何だか穏やかに感じた。
「……そうだね」
「まぁ梅雨だし、そんなもんだよね。あー、次の数学は追試決定だから返ってこなくていいやー」
「サボったら許さないからね、妃奈。お母さんに言いつけるから」
「由奈のケチー。…っていうか、言っとくけどまだ授業サボったことないからね!?高校入ってだけど」
つまりは中学の間はサボっていた訳だ。寧ろ、高校に入ってから一度もサボっていないということに驚く私は、彼女にどんなイメージを持っているのやら…私は笑みを零す。
三人での会話は、無理なく、楽しくて。平穏で、心地よい。
そこ、に。
席二つ後ろに位置する、教室後方のドア。開いた時には、誰も気にしていなかった。
「……あの」
一番近くにいた私は、そのドアを開けた女の子に、声を掛けられる。
誰だろう、知らない子だった。別のクラスなのだろう。
「日高君、いますか」
お箸を持ったまま、私たちの席と反対側、グラウンドに面した窓を見遣る由奈。
激しくはないけれど、むやみやたらとライト等の光を反射させる、細々とした雨。風は伴わず、何だか穏やかに感じた。
「……そうだね」
「まぁ梅雨だし、そんなもんだよね。あー、次の数学は追試決定だから返ってこなくていいやー」
「サボったら許さないからね、妃奈。お母さんに言いつけるから」
「由奈のケチー。…っていうか、言っとくけどまだ授業サボったことないからね!?高校入ってだけど」
つまりは中学の間はサボっていた訳だ。寧ろ、高校に入ってから一度もサボっていないということに驚く私は、彼女にどんなイメージを持っているのやら…私は笑みを零す。
三人での会話は、無理なく、楽しくて。平穏で、心地よい。
そこ、に。
席二つ後ろに位置する、教室後方のドア。開いた時には、誰も気にしていなかった。
「……あの」
一番近くにいた私は、そのドアを開けた女の子に、声を掛けられる。
誰だろう、知らない子だった。別のクラスなのだろう。
「日高君、いますか」