えっ!?



と思い



「ど、どうかした?」



かがんで日向くんの目線ぐらいのところで聞いてみる


日向くんは下を向いたまま


「ハァ〜」



と長いため息をもらした



「日向、大丈夫か?」



北条くんも心配そうに日向くんを見る



すると、日向くんは走ってきたせいか、顔を上げ赤い顔をして私を見つめた



と、思うといきなり日向くんに手を引かれ、前に倒れる



そして、ギューーー!



と力いっぱい抱きしめられた



いきなりのことで固まる



たぶんこの位置からすると、黒板の方にいる人たちには見えない



…日向くんの後ろからなら丸見えだけど…



息の止まる思いでジッとしていると



「ひ、日向!?」



我に帰った北条くんは日向くんの名前を呼ぶ



それにハッとしたように、私を体から離した



呆然と見ている奈緒と花



「ご、ごめん、いきなり…」



自分のしたことに気づいて顔をさっきより赤らめる日向くん



そんな日向くんを見て、私も顔が熱くなる



と、五時間目が始まるチャイムが鳴った



「あ、席につかないと…!」



今まで何にも反応がなかった奈緒が言った



「そ、そうだね」



花もギクシャクと歩きながら自分の席へ向かう



「…」



北条くんは黙って行ってしまった



残された私たちは静かに立って、お互い下を向いたまま、何秒間かそこに立っていた



「じゃ、じゃあ私も自分の席に行くね」



そう言って、みんなが急いで自分の席に向かう中、私も混ざりこんで行こうとした