「いや、何で私ここにいるんでしょうか」
「ん?……流れ?」
「ああ、そんな感じですか」
よし、帰ろう。
そう思って踵を返せば、大きな手に手首を掴まれた。
「えー、さくら帰るの?」
「ええ」
「だめ」
「何故貴方に決定権があるのか不明なんですが」
いつもそう。強引に進めたからと言って思い通りに行く筈もないのに。
「ね、アイスあるよ?」
けれど
この人は強引なだけじゃないからタチが悪い。
「…………何味ですか」
「勿論いちご」
「……」
「いらない?」
「……いただきます」
私が、いちごのアイスを好きだと知っていて。