「さて、わしも時間がないから本題といこうか。」


何かを企んだような含み笑いから、当主らしい威厳とした態度になった。


「玲央と話したな?」


「はい。弟とまともに話したのは初めてでございます。」


「Sは取れそうか?」


「それは....。玲央は主に反抗しそうなので....。」


「ユリに付けるのにはぴったりじゃないのか?」


「どういった意味で?」


「ユリはまだ学校に行ってないんだろ?」


「行っていないというか、優等生制度で....。」


「そうか....。執事がいないから行っていないというわけではないのだな。」


「裃の生徒は基本的にはランクがある第一執事を付けることが決まっていましたね。」


「玲央はユリの第二執事だったな。」


「えぇ....。」


ここまで話したところで旦那様が口を噤まれた。








1分間の静寂。


「理央、お前はこのままわしの執事で様子見だ。お前ほどの優秀な者はなかなかいないものだからな。そして玲央をイギリスへ留学させろ。お前から聞いたようすじゃ半年で免許は取れるな。お前が半年で取れたから。」


「かしこまりました。莉依紗様に....。「莉依紗には私が言っておく。」


「旦那様にそんなお仕事は....。」


「わしに働くなと言いたいのか?どうせわしから言わんと莉依紗は聞かんよ。倅に似ておるからな。」


苦笑が漏れてしまった。


「それではお願いいたします。私はこれからオフィスに戻ります。」


「待っておるぞ。お前がわしのところにいれば学園の様子がつかみやすいからな。」




ユリ様に仕えたかったな....。




俺は何を考えているのだろう。


執事に主を選ぶ権利はないのに。


-理央side end-