-莉依紗side-


お父様....。


私の家で義夫妻たちがいらしたときは多忙ですぐに帰ったから、仕事の話でもゆっくり話すのはすごく久しぶりだった。


少しは私を認めてくださったのね....。


あの頑固親父も少しは成長したみたい。


にしてもお父様はいつのまにあんなにご出世なさったのかしら?


「葵.....。ごめんなさいね。お父様の前ではいつもと同じ態度で振る舞うわけにはいかないのよ。」


「いえ....。莉依紗様のお噂で、威厳を放つときは周りを凍らせるかと思うほどにとても冷たいと...。

一部では氷の美女、などと言われています。」


「何それ。私ってそんなに怖いの?」


思わず笑ってしまった。


みんなビビっているのはなんとなくわかっていたけど。


「お父様と話している間は国松は逃げているものね。」


「そ、そんなわけ……。警備のために外にいろと旦那様に仰せつかっておりますので。」


本当かしら?


「先程は粗相な態度をとってしまい、大変申し訳ございませんでした。」


「いいわよ。葵、気にしないで。お父様に会うときは私は周りの人でもだいたいあの話し方になってしまうのよ。

直さなくてはいけないわね....。」


冷静沈着な葵がユリのことではいろんな表情を見せてくれる。


それを少し楽しんでいる私がいる。


「莉依紗様。お話を変えますが本当に地下の場所はわからないんですか?」


「いいえ、実は噂で聞いたことないかしら?ゴールド宮地下にあるって。」


「聞いたことないし、話している人も見たことないですが………」


そういえばほとんど知られていない世代になったわね。


「話が長くなってもいい?」


「はい。」


私の知っているゴールド宮の話を葵に教えた。