「ではお入りください。」


石井さんが扉を開けてくれた。


ここに警察の偉い人が来ると思うと俺でもなんだか緊張してしまう。


「12階からの眺めは最高ですね。」


「あなたはやっぱりこの景色をみなれているのね..….。」


莉依紗様は静かに仰った。


「どういう意味でしょうか?」


「驚きが薄いわ。恵梨香はこの景色を見て、私の会社のオフィスに方が眺めが綺麗だわと言ったの。日常的だったのね。」


「恵梨香って....どなたですか?」


「真理亜の母親。そして...….私の親友だった。」


は....?


「あなたの執事には言わないでね。あの人は信用出来ないから。個人の勝手な直感ではあるのだけど。」


そういえば、最近吉崎を見てないな。


俺はもともと執事を付ける予定はなかったから困るわけじゃないけど。


「石井、ちょっと部屋の前で待機してて。」


「はぁ....。しかし関係者以外の人が入るときには必ず監視者を付けなければいけないじゃないですか....。」


そんなルールがあったのに莉依紗様は俺をこの部屋に.....。


「あら?そういえばそうだったわね。」


一気に周りの温度が冷えたように冷たい態度をとった。


「あなた、高澤財閥の息子の前でそんな態度でよろしいのかしら?」


クスクスと笑う学園長に俺は怖くなった。


「高澤財閥って....まさか!あ、葵様で.....。」


顔が一気に青ざめた石井さん。


「た、た大変失礼いいたしました。高澤様と分からず....…。け、警備は私にお任せを!」


ーバタン


慌てて出ていった。


「さて………。」


さっきの態度から一変。


莉依紗様は立ち上がり書類の束をドサッと置いた。


「捜査会議を始めましょう。」


そう言った莉依紗様はパンと手を叩いた。