「あれ?もうちょっと上かな?」


ニコニコと話す学園長はすごいと思う。


「秋本様!開いております。」


「じゃあ使うね。」


「かしこまりました。」


「え?あなたも一緒に行くのよ?」


「わ、わたしもですか!?」


「何言ってるの?あなた私の助手なんでしょ?」


「あ、ありがとうございます!!」


受付の人が助手ってどういうことだ?



「奥様がこちらへ来るときは必ず受付の人は奥様の助手に変わるんです。奥様はあまり関わりのない人とは話さないように教育されてきましたので。」


国松さんがこそっと教えてくれた。


「葵、行くわよ。」


不思議そうな顔をしながらも踵を返し、エレベーターに向かった莉依紗様。


しかしあの助手やるな。


タイミングよくエレベーターを開いた。


「お乗りくださいませ。」


助手が誘導し、中に乗り込んだ。


3人の間で静かな空気が流れる。






12階に着いた。


「さすが名家の坊っちゃんね。礼儀いいわ。」


「もう社交辞令みたいなもので。」


「あの刑事もそうよ。」


「え?」


「石井といってね、石井自動車の息子。御曹司ってとこ?」


「驚きです。私は1度お会いしたことがあるかもしれません。」


意外な人が働いているものだ。