つい押しかけた手を止めた。


ダメ。


ここで出て夏菜に被害があったら私のせいでは済まない。


学園長、お母さん、お父さんに迷惑がかかる....。


出れなくてゴメンね....。


携帯を握りしめた手をぐったりと落とした。


そして床に寝転がってボーッとしていた。






「頭いいのね。さすがSランクだわ。」


どれくらいたった頃か。


また誰か来た。


「美穂?」


「そうよ。あなたの夕ご飯持ってきたわ。」


確かに手にはトレイが....。


毒とか入ってるんじゃ....。


「大丈夫。毒なんて入ってないから。殺すなって命令が出てるって言ったでしょ…....。」


そう....。


じゃあ食べようかな....。


美穂からご飯を受け取り一口食べてみた。


お、おいしい....。


「おいしい....。料理がお得意なのね。」


「そうでもないわよ。でも、喜んでもらえてうれしいわ。」


無表情が少し和らいだ気がした。


「ひとつ聞いてもいい?」


「いいわよ。....あなた、敬語がぬけたわね。」


「あ、スイマセン。」


「いいわ。で、何?」


「私の携帯に何か仕掛けた?」


「いいえ。何も。」


顔を観察してみたが何にも違和感がない。


「だから、私たちは殺す気なんてないのよ。....理解して。」


少し眉をゆがめた後美穂は去った。


電話....してみよう....。