「では、授業を終わりにいたします。」


今は華道の時間。


昔習ってたし、かなり上の段を持ってるから楽なんだ。


それにより待遇もしてくれるし。


「ユリさん?ちょっといいかしら?」


「はい....。」


私を呼んだのは理穂さん。


隣の夏菜の顔が心配そうになっていたけど、私は安心させるために微笑んだ。


初めてに近いかも、話したの。


私は夏菜と玲央以外ほとんどクラスの男子や女子と話さないから不安が募る...。





私を人がめったに来ないホールに連れていった。


校舎からはかなり距離がある。


「あそこにね、ちょっと取ってほしいものがあるのよ。取っていただける?」


なんで私に頼むんだろう?


そもそも何でこんなところに置いてるの?


「いいですよ。」


ホールの中にある倉庫に入ったとき。




ーガラガラ




え......?


閉まった...。


やっぱり罠だったか....。


「あなた馬鹿ね。なんでこんなものに引っ掛かるのよ。」


「り、理穂さん.....?」


「私、そもそもこんなところに用ないし。じゃあね!執事にでも開けてもらえば?」


-ガチャ


鍵閉められた.....!?


「誰にも居場所言ってないんだから知る由もないだろうけど。」


理穂さんの高笑いが倉庫にまで響いている。


「あなたはいらない存在ってことを自覚しなさいよ、いい加減。」


-ペタン


膝の力が抜けた。


理穂さんの言い残した言葉が私の頭の中にぐるぐると駆け巡る....。


やっぱり、そうよね....。


いつの間にか意識を手放した....。