意図的に屋上に取り残された
私達は非常に気まずい時間を
過ごしていた。
その中重い沈黙を破ったのは
拓実の方だった。
「俺に用ってなに?」
何時になく冷たい対応。
私は意を決して話し始めた。
「拓実の家のこと
聞いた。」
「・・・それが?」
「御曹司なのも、おじい様が
私を毛嫌いしてることも。」
「・・・」
「私はごく普通の家な上に
身内もいない。
反対されて当然なのも
分かってるよ・・・。」
私はそういうと一息ついた。
その間も拓実は黙ったまま。
「それでも、私はやっぱり・・
やっぱりね、
拓実の事が好きなの。」
と、涙ぐみながらいった。