「ストークス本家には和装で入出しなければいけない。使用人や客を含め全員。だから君にも着替えてもらう。着物はあの露草色を、帯は合わせてやってくれ。着付け終わるまで待っているよ」

「タダって素晴らしいわね。ありがたく頂戴しておくわ。少し待っててね」

「ウィル、アリスにも着物を着せてあげるのですか?ローズがお手伝いしてあげるのです!くるくるのキュッキュッて凄いのですよ!」

「…へぇ…女の子をお着替えさせるのも上手なのね。感心だわ」


店の奥に連れて行かれ、二人の着付け師に言われた通りに服を畳の上に落としていく。

肌襦袢に袖を通すと、胸の部分にタオルや綿を詰め込まれ、紐でウエストの部分を縛られた。

桜柄の半襟の付いた長襦袢を身に纏い、伊達締めで固定された後に着物を羽織る。

苦しいぐらいに帯締めと伊達締めをされた後、チョーカーを外され襟元を整えられて帯を巻かれた。


「…う、うぅう…ッ死ぬ、出るッ…!!内臓が、口からッどろどろって出るよッ!!」

「出ませんッ!御下品な事を言わないでください!」

「がふっごほっ…!!やめろーッいっそ殺せッ!!ひぃいいっ!!」

「ほら早く!帯締めて!」


文庫結びを軽くアレンジした帯に、後帯締めと帯揚げで仕上げられた。

赤色の紐で結われた蜻蛉玉の帯飾りをつけられ、菫色の草履に足を無理やりねじ込む。

お揃いの鞄には持っていた小物を移しかえ、着ていた服は無料で自宅に送ってくれる事になった。

髪を整えられた後、ふらふらと覚束ない足取りで二人の元へ戻る。