体育祭2週間前になると、午後は体育祭準備と練習にあてられる。

私は特別棟で衣装を作っていた。
窓の外にはグラウンドが見える。


グラウンドでは騎馬戦の練習をする男子と、100M走の女子、あとリレーの人たちが練習している。
当たり前のようにその賑やかな声はここまで聞こえてきた。

賑やかなのは、みんなが練習を頑張ってるから、ってだけじゃなくて
そこにあの3人がいるからだ。

みんなの視線と歓声、ため息までを集めていた。


気だるそうに騎馬から下りた陽都と目があった気がした。
気のせいかなって思ったけど、陽都がこっちに向かって手を挙げた。
それに気づいたらしい静も並んで手を振る。

ふっと笑みが零れて、手を振りかえす。


「あの2人のどっちかと付き合ってんの?」

「わっ・・・・・」

いつの間にか後ろに来ていたらしい羽瀬が、後ろから手を伸ばして桟に手を置く。
背後から寄りかかられているような、その体温についドキッとしてしまう。

「付き合って、ない」

振り返ると、リレーの練習をしてきたらしい羽瀬が首にタオルをかけ、体操服の袖を捲り上げていた。

予想以上の近さに、羽瀬の体温を感じてくらっとした。

焦って窓の外に視線を戻した。


窓の外の2人はまだこっちを見ていたけど、手を振りながら練習に連れ戻されて行った。