なんで私が羽瀬とアド交換しないといけないのかわかんないし
なんで羽瀬が私とアド交換する必要があるのかわかんなかった。

だから、ただただ目を見開くばかりだ。


「咲のこと、相談とかあるかもだし」


なるほど。

ちょっと納得したら、妙に冷たい気分になった。

「・・・・・・悪いけど、咲が妬くから」

「咲は、妬かないんだってさ」

「わかんないじゃん」

「妬かないって言われた」


あてつけ、ってやつだと思った。

妬かないって言われてむかついたんだろうな。


「・・・・・バカじゃないの」

すごく小さくて、かすれた私のそんなひどい呟きは
聞き慣れたチャイムの音がかき消してくれたみたい。

「え?」





結局アド交換はしないまま席に戻り、来月の体育祭の話し合いが始まった。


咲はパフォーマンスで踊るのを楽しみにしているし
あと、羽瀬がリレーに出るのも楽しみらしい。
伶は100M走、陽都と静は騎馬戦とリレーに出るらしい。
私は何の競技にも出ないけど、とりあえずみんなの応援を頑張ろうと思う。