何てったって伶は美人で運動神経がいい。
何てったって陽都と静はかっこよくて運動神経がいい。

だから、放課後はよく部活の助っ人に行ってる。
いつでも一緒だと思ったら大間違いなのだ。



部活中の生徒や先生の声。
笑い声や叫び声。
走る音やボールの跳ねる音。
グラウンドや校内にそんないろんな音が響く。

教室の窓から外を眺めていると自然と上に目が行く。


夕日だ。


もう、帰ろうかな。


かたんと、机を鳴らして荷物を持つ。


階段を下りていると、上から足音が聞こえた。

それと同時に、教科書を持ってくるのを忘れたと思った。

その間にも、足音はどんどん近づいてきている気がした。


正直、教科書は無くても平気だった。
でも、明日当たるかもしれなかったし、何故か、戻ろうって思った。

踵を返して階段を上った瞬間、近づいてきていたらしい足音の正体が現れた。
バスケのユニフォームに身を包んだ羽瀬が、飛び出してきたのだ。


「きゃ・・・っ」

「ぅ・・・わっ・・」