いつから汐映と一緒にいたのか、今ではもう思い出せない。

物心ついた頃には、汐映と陽都と静が傍にいた。
私たち4人は同じマンションに住んでいて、部屋も4連なりだったから、普通に幼なじみだった。


汐映の家に遊びに行ってもおじさんとおばさんに会うことはあまり無くて、

「あら、伶ちゃんたち。また遊びに来てくれたのね。私は仕事だけどゆっくりしていってね」

「はぁい」


会うのはいつも玄関外。

玄関を開けると、汐映とお兄さんの尋会(ヒロエ)君が出迎えてくれる。
おばさんの綺麗に作られた笑顔より、こっちの笑顔の方が大好きだった。


汐映が4歳の時、おじさんとおばさんが離婚した。

そしてあの大好きだった部屋は空っぽになった。


でも同じ学校へ行くことになったので傍を離れることはなかった。


どうして施設へ?
それはきっと本人もよくわかっていなかったと思う。


私たちも、きっとおじさんたちはまた仕事だんだ。よろしくって言って仕事に出かけただけなんだ。
あの玄関外で。

そう思っていた。


小学校の入学式までは――――・・・。