「アド教えて」

「うん・・・・・え!?」

「はい、じゃ携帯」

途中からめんどくさいとか思ってしまったのが悪かった。
うんとか言っとけばいいやとか、思ったのが悪かった。

そのせいで思いっきりテンポに乗せられた私の前には、携帯を片手に笑顔で手を差し出している羽瀬がいた。


「や、だから・・・交換しないって・・」

「うんって言ったじゃん」

「いや、今のは・・・」

「あ、柳下の携帯これ?」

「うん・・・・? ってあぁ!!」

机の上に放置していた私の携帯は、いとも簡単に羽瀬の大きな手の中へ。

「俺の送ったから、後でメールして」

「え? 私のも送ればよかったじゃん」

「暗証番号わかんないから」

「・・・・・・・」

「絶対、、メールして」


そう言って出ていく羽瀬の背中にため息を吐く。



その夜、メール1通送るのに大分時間がかかっのに
返ってきたのは素っ気ないメールだった。


From 羽瀬 涼司
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了解。
     −END−


私のアドレス帳に、羽瀬涼司(リョウジ)が増えた。