そう、アタシは去年の春
縁故で入社した短大卒のオンナノコに総務の席を奪われて
安藤が所属されたばかりの部署へと移動になった。
そんなに人数の多い会社ではないので、そこでもアタシは『ユキ姉』で
勤務歴が長いことから、そこそこ頼りにはされているけど
お財布の中身は、少しだけ軽くなった。
「だから、はやいところ会社なんか辞めて、結婚しなさいって言ってるの、お母さんは。アンタあの『写真』どうしたの?また部屋の隅でほったらかしなんてことないでしょうね?」
出来上がったばかりのうどんを、古い木のおぼんにのせて
母がいきなり口をはさんできた。
あの『写真』
この前ツバサくんが捨てるのを戸惑った・・・アタシへのお見合い写真。