「・・・ツバサくん?」
アタシはベッドから飛び出すと、パジャマのままで(いつ着替えたんだっけ?)リビングを抜けて玄関までかけて行く。
・・・と、白い買い物袋を片手に持って、玄関のドアノブを開いた状態のツバサくんと
目が、合った。
「・・・うぅ。なんでいるのぉ・・・」
ツバサくんの顔を見た途端、アタシは思わず力が抜けて、そのまま玄関にヘナヘナと座り込んでしまった。
「イヤ、なんでって・・・買い物行って来ただけだし」
アタシのあまりの狼狽ぶりに、いささか引き気味?のツバサくん。
でもアタシはどうしたもんだか涙が止まらずに。
「じゃあ目が醒めたらなんでいないのよぉ・・・」
と、言って、その場で泣き続ける。
なんでこんなに泣いてるんだか、そもそも昨日から
うっとうしい梅雨時のように涙が流れるのが自分でももう良くワカンナイんだけど
でも、涙が出るものは仕方がない。
この涙はきっと、ツバサくんのせいなのだ。
「ユーキさん!何々?ボクの隣で目覚めたかった?そりゃボクだってリビングのソファーで縮こまって寝るよりユキさんとサクラの寝顔見て眠りたいってば」
クスクスと、ツバサくんは笑って(そう、ツバサくんはソファーで毛布をかぶって眠っている)買い物袋を置くと
玄関を閉めてアタシの前に両膝をつき
「ゴメン。寂しい想いさせて」
と、言って
やさしく
アタシのことを---抱きしめた。