「みゃあぅ?」
ベッドから出ようとしないアタシの頬に流れた涙を、サクラがそっと舐めてくれた。
サクラだって、きっと寂しい。
寂しい。
寂しい。
たった二日、一緒に暮らしただけなのに。
ううん、それとも、その二日が、もしかしたら夢?
でも寝室から繋がったせまいリビングには昨日ツバサくんが用意したコタツと、その上には橙色のみかんが平和そうに笑っている。
けれどキッチンからもバスルームからも人の気配はなく
この部屋にいるのは
アタシとサクラだけだと静まり返った空間が知らしめる。
ツバサくんと出逢う前は、そんな風に感じたことなんてなかったのに。
『一人』って、こういうことだったんだ。
こんなにも、静かで、寂しい・・・
「・・・寂しいよぉ。サクラぁ・・・」
泣き続けるアタシを、サクラが困ったような顔で見ている。
首を傾げて、小さな声で『みゃう』と鳴く。
でもすぐに、サクラはアタシの腕の中から離れてリビングへと逃げて行ってしまった。
そして、聞こえる。
カチャリと、玄関の鍵が、回る音。