------みゃあぉ


と、いう、遠慮がちなサクラの鳴き声で

次の日、アタシは目を醒ました。


「サクラ・・・」


涙を流して眠っていたらしいアタシの顔を、心配そうに覗き込んでいたサクラをギュっと抱きしめる。

心に残る、悲しくて、寂しい記憶。


目が、醒めたら

ツバサくんはきっといない。


だから、夢から醒めたくなんかない。

けれど

夢の中でも切なくて、瞳を開けても苦しくて、アタシは訳も解らずベッドの中で

サクラを抱きしめながら、夢の中と同じようにシクシクと涙を流す。


やわらかな、ほのかな香りを残して

消えたのはだぁれ?

『あの日』サクラの木の下で、一緒に『サクラ』を拾って

『サクラ』の名前を、笑ったのはだぁれ?


ねぇ、この部屋に

昨日までいたのは・・・だぁれ?