「ん?ああ、辛いみたいだねー。ボクはなったコトないから、ワカンナイんだけどさ。街中みんなマスクしてるもんネ。一種異様な光景だね、アレは」
アタシの下手な演技に、話を合わせてくれるツバサくん。
ああ、やっぱりこういうトコロ、ツバサくんは大人だ。
なんでかな、どうしてだろう、まだ、ほんの数日
しかも、恋愛関係でも何でもない、ただの『同居人』
・・・なのに。
ツバサくんといる時間は
ほんのりと優しくて
柔らかくて
穏やかで
春の日差しのように、うららかで温かくて、気持ちがいい。
「うん。辛いよね・・・。それなのに、ユキさんは頑張ってるよね」
そっと、肩の蒸しタオルを二枚目に変えてから
ツバサくんはクシャクシャと、アタシの頭を撫でた。
「・・・うん。花粉が」
「うん。花粉がね、大変なのに、エライエライ」
「うん・・・」
ホント、なんでかな。
ツバサくん
キミといると、アタシは何故か子供みたいになって
ムキになったり、泣きたくなったり
心に『ウソ』が、つけなくなるの。