「ちょっとシャツのボタン開けて?2つくらい」
「・・・うん」
プチプチと素直にボタンを外すアタシ。
「少し開くよ?」
「・・・うん」
『アップにしてるのも肩こりの原因なんだよネ』
と、いう理由で既にほどかれているアタシの髪を、ツバサくんは繊細な指ですくって脇に流す。
そして、MaxMaraのシャツの襟を背中から開かれて
ジワリと心地よい熱が、肩から首にかけて広がった。
「で、こっちはユキさんが自分で持って、下向いたままでイイから、落ちないように目元にあてて、押さえといて?」
アタシの右腕をツバサくんが優しく掴み、そっと蒸しタオルを握らせてくれる。
うん、やっぱり安藤より華奢で、繊細な腕。
安藤の腕は、手は、身体が細い割にゴツゴツしてて、オトコノヒト、みたいだった。
「・・・あったかい」
肩と眼の温かさが、ジワジワと心にもしみてくる。
すると何故だか解らないけれど、アタシの鼻がツンとしたから
軽く、鼻をすすり
『いやよね?』
と、花粉症のふりをした。