「希美?!」


ヤンキー二人の手をとって、あの人がいるのと反対方向に進もうとすると、肩を掴む手がひとつ。



「凌斗、痛いから。」


「そいつら、何なの?」


「見てわかんない?ガッコの生徒。

あ、わかんないか。
あたし、お酒も飲めない10代だしね?」


「え、のぞみセンセって10代なの?!」


「ンなわけないでしょ。

言っとくけど、安いもんしかおごれねーかんな。

凌斗、手離して。」


目も見ずに言い放つと、掴む力が強くなった。



「真っ直ぐ家に帰れ。」


明らかに怒気を含んだ声。


生憎、今のあなたは怖くも何ともない。



「彼氏さん?センセーのことお借りしますね。」


「オレたち、ゆーとーせーだからご安心を。」



あたしの肩を掴む力が無くなった。


見ると、二人が凌斗の腕を引き剥がしている。



あの声を聞いて怯まないとは。

伊達にヤンキーやってないね。