数分後、わたしの前に、西洋風のきれいなティーカップとティーポットをマスターが持ってきた。
マスターはゆっくりとポットから紅茶を注ぎ淹れた。
「マスカットの、いい香り...」
ふわっとした優しい香りがわたしを包んだ。
「お客様はマスカットがお好きだと思いまして。喜んでいただけて何よりです。」
「え...どうしてわかったんですか!?」
マスカットが好きだなんて、一言も言ってない...
すると、マスターは柔らかく微笑んで、
「長年のカンですよ。」
と、囁いた。
長年って年齢じゃない気がするんだけど...