「お姫さん、ご到着〜♪」
グイっと力強いなにかで引っ張りあげられると、次の瞬間には、あたしは音楽室のなかにいた。
いきなりの明るい空間と、さっきまでの苦しみからの解放でへたりこむ。
た、助かった…。
まだ痛む両手が妙にリアルで、あたしはブルルと震えた。
「大丈夫?手、痛い?」
心配そうにのぞきこんでくる、男の人。
こ、こいつは…。
「うわっ。手ぇ真っ赤だし。そんなに大変だっ「大変に決まってんだろ、バカやろおぉぉぉお!!!!!!!」
ロッククライミングなんて今の今まで、一度もしたことなかったのにっ!!
いきなり命綱無しとか死ぬだろ!!
「いや、俺が初めてコレをやった時は、そんな大変じゃなかったからさ」
「そりゃ、あんたは男だからね」
そもそもの体格の差がありすぎでしょ。