人生には、沢山の扉がある。
自分が向かいたい道に
進むため、
自らが切り開いて歩いていく。
だが、扉には鍵が付いている。
鍵を見つけて開けてみよう。
自分の進むべき道を。
扉を開いた先に見えるのは、
なんだろうか。
一面を染める闇か。
それとも、希望に満ちた
一筋の光か。
あの日、もしあの時。
違う選択をしていたのなら
貴方は、まだ隣で笑っていましたか?
あの時は、子供過ぎたから自分が傷つかないように自分が苦しくならないようにした。
子供過ぎたから……
ああいった選択しか見つからなくて。
だから、もう一度あの日に戻りたい。
「うん、着いたから。
今からタクシーで向かうわ。
だから、心配いらないよー。
じゃあね。」
ピッ…
そう告げると、手に持っている使い慣れた携帯を閉じ、バックに突っ込んだ。
「本当、心配しすぎなんだよ。」
キャリーバックを片手にひきながら、まっすぐに進む。
相変わらず、都心部は人が多い。
周りは、人人人。
東京に比べたら、人は少ないけど……
こんなに多かったっけ?
懐かしい町並みをタクシーの中から眺めていた。
少したち、ようやくあたしの故郷が見えてきた。
「……っあ。」
運転手に話しかけて、タクシーを止めてもらった。
とっさにタクシーから降りて、懐かしい町並みを見ながら進み出す。
「懐かしい…。
この公園、何年ぶりだろう。」
全ての始まりは、この公園だった。
唯にあったのも、恭ちゃんと友達になったのも……
そして、君に出会ったのも。
ミーン…ミーン…
「にしても、暑い!」
蝉の鳴き声がこれでもか!
ってくらい響いていて、ジワジワと熱風が込み上げる。
夏になったって思う。
あれから、何年夏がやって来たんだろう。
あたしの名前は
浅倉爽華(アサクラサヤカ)、22歳。
高校を卒業と同時に就職して
いま現在、
仕事の都合上、東京で働いている。
なので、卒業と同時に上京して一人で暮らしており、
「たまには、帰ってきなさい。」
と母親に言われ続けて夏休みをうまく利用して帰ってきた。
あんまり帰りたくない。
っていうのが本音。
その理由は、あたしが上京した理由と同じということ。
いずれわかるだろう。
色々考えながら、歩いていたらいつの間にか家についた。
暑さによって込み上げてくる汗を拭いながら、玄関のインターホンを押す。
何年ぶりの我が家だろう。
成人式には、一応帰ってきたからざっと3年かな?
まだ3年か……。
3年しかたってないのか。
「あら、お帰りなさい。」
笑顔で出迎えてくれる母。
この笑顔が懐かしい。
「ただいま。」
「わーい!
お姉ちゃんだー。」
その言葉の勢いと共に何故か知らないけれど、抱き着いてくる妹の藍里。
「あはは……
いきなり抱き着いてくるのは辞めようね。」
「えへ?」
あたしと母の顔は、同時に苦笑いへと変わった。
「どれくらいこっちに居るのかしら?」
「うーん、2週間かな?
とりあえず。」
せっかくの久しぶりの休暇でこっちに帰ってきたから、仕事のことを忘れるつもりでいた。
いや、忘れたい。
てか、学生に戻りたい。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。
あのねー…」
被さるように藍里の着信がなった。
そして、誰か友達にでも呼び出されたんだろう。
「もぅ。
あ、お姉ちゃん。帰ったら聞いて欲しいことあるから。」
と言い放ち、落ち込みながら家をでていった。
「何、あれ。」
呆れぎみのあたしは、藍里の後ろ姿を指でさしながら言った。
お母さんは、苦笑いと共に言った。
「今日、彼氏とデートって言ってたからね。」
って。
デートですか……
「え!藍里、彼氏居たの?」
え、え。
だって、まだ中学1年生じゃん。
「みたいよ。」