こんなにも、取り乱して怒ってる唯を見たのは久しぶり。
前にもあった。
「関係ないから?……
ふざけんじゃないわよ!
私は、あんたにとって何?」
唯……。
「親友じゃなかったの?
そ、う思ってたのは……私だけなの?」
違う、こんな風なるはずじゃなかった。
唯に、心配かけたくなくて。
「あんたが、一人で抱え込む癖あるの知ってるよ?
少しは、心配かけてもいいんだよ?」
"心配させろよ"って前にも言われた。
この癖直さなくちゃって思ってたのにな。
「ごめんね、全部話すよ。
なにもかも。
聞いてくれる?
あたしの高校時代の話を。」
どうして、あの時
あんな選択を?
気づいたときには、遅いんだ。
記憶を辿るたび、後悔しか残らない
いつも、君には声なんて届かない。
過去を辿れば、違った未来が待ってんのかな?
どうすれば、君にあんなこと言わなくてすむのかな?
あたしの中の君との最後の記憶は、なんでだろう。
悲しいものだった。
記憶をいつまで辿れば、あたしに幸せはやってくんのかな?
時は、遡ること5年くらい前になる。
あたしが、高校生の時の話。
--------------
「唯ー、こっちこっち。」
「ごめん、ちょっと課題出してて遅れた。」
あたしと唯は高校は、違った。唯は、デザイナーになりたいからそれなりの高校に。
あたしは、得に考えてないから近くにある進学校に進んだ。
「二人は?」
「今、皆の分のジュース買いに行くっていっちゃった。」
「そう。」
久しぶりに会う唯の顔は、
疲れてるのか元気じゃない風だった。
「大丈夫?」
「いいんだって、今日じゃなきゃ会えないでしょ?」
そう、明日からは中間テストがあるからギリギリ今日しか会えない。
テストになったら、勉強漬けだからな。
二人で呑気に喋ってたら、ジュースを買いに行ってた雄貴と恭ちゃんが戻ってきた。
ここで二人の紹介。
雄貴とは、「宮原雄貴」と言って、あたしと小学生の頃からの仲良しである。
もう一人は、「柳田恭介」と言い、通称「恭ちゃん」と言う。恭ちゃんとは、中学の頃に雄貴を通じて知り合った。
いつの間にか、あたしたちは仲良しグループになってた。
暇さえあれば、集まってたし。グループ分けになれば、絶対といっていいほどあたしたちは一緒だった。
「よぉ、元気そう……ではないな。」
戻ってくるなり、唯を見て雄貴が言った。
「そりゃあ、ね。
作品を提出しなきゃいけないしねぇ」
「大変そうだわ。」
改めて、唯の通ってる高校は大変そうだった。
「何言ってんの?あんたたちの方が、大変でしょ?
なんたって、進学校なんだからね。」
「そんなことないよ、ね。」
二人に同意を求める。
雄貴は、頷いたけど……
恭ちゃんは、苦笑いを浮かべた。
それを見た唯が、恭ちゃんの肩に手をおいて
「ドンマイ」って
言ってたのは、言わないでおこう。
ま、そんなあたしたちでもそれぞれ進む道は違う訳で。
だから、中学を卒業してからなかなか会う機会が無かった。
んで……
今日、こうしてやっとの思いで集まったの。
って言っても、唯以外は同じ高校だし、雄貴にいたってはなんと同じクラス。
ま、特進クラスがひとクラスしかないから当たり前か……
ちなみに、恭ちゃんは普通クラスだから違うけどね。
なんで、仲良くなったんだっけなぁー。
「ちょっと、爽華いくよ?」
「え、うん。
って、どこに………?」
ありえないと言わんばかりの呆れ顔の唯。
馬鹿にしたように笑う雄貴。
「今日は、皆でボーリング大会だ!って昨日自分で言ってただろ?」
尽かさず、小さい声であたしに教えてくれる恭ちゃん。
恭ちゃんだけが、あたしの味方だよ。
「そうよ、ボーリング大会だよ。
いや、忘れてたんじゃないよ?みんなを試しただけだよ?
ね、恭ちゃん。」
訳のわからない、言い訳をしながら必死に忘れてませんでしたオーラをだす。
「そ、そうだよな。
さ、行こうぜ。」
なんやかんやで、ボーリング大会は始まったわけで……
久しぶりにこんなにワイワイと遊んだのは。
学校にいっても、あたしとこんな風に絡んでくれる人が凄く少ない。
だから、久しぶりに楽しかったのだ。
「どうした?疲れたか?」
心配してきた雄貴に大丈夫と伝えた。
「ね、雄貴。
なんか、楽しいよね。」
「確かに楽しいな。」
向こうでは、恭ちゃんと唯がスコア勝負している。
馬鹿みたいな感じだけど、あたしはこの人達が大好きです。
今日は、高校生になって初めての中間テスト。
みんな、カリカリと勉強してる昼休み。
なのに、あたしはというと。
「痛いよー。腕!」
痙攣をしたように、小刻みに震わす腕。
それをみてか、心配する友達たち。
「大丈夫?」
「爽華が、ボーリングにいくからでしょ?」
「だってー。」
頬をぷぅーっと膨らまして、心配してくれない、雅に向ける。
ちなみに、あたしを心配してくれたのが、美夜。
雅は、モデルみたいなスラッとしたスタイルを持っている子。美夜は、小さくてかわいいくて今時の女の子って感じの子。
二人は、このクラスで一番にできた友達。