そんな腐ってる俺を拾ってくれたのが今の事務所の社長だった。
“客と揉める”
“扱いにくい”
そう言った悪い意味で名前が知れてしまった俺なんかを受け入れてくれる事務所はないだろうと諦めていたのに。
『きみみたいなタイプは一つのところに長く居着けないんだよ』
ライター仲間のツテで受けた今の事務所の面接で社長にそう言われた。
『きみはいろんなことに興味があって、いろんなことにチャレンジしてみたい。
例え、それが儲け話じゃなくても。そこに何のメリットもなくても。会社の以降と違っても。
自分の進むべき道を進みたい』
―――…そうだろう?
そう言って笑った社長に何だか胸のつかえがとれた気がした。