そんなカレー好きの俺は酒を飲んだ後だというのに、その匂いに導かれるままその店のドアを開けた。
『いらっしゃい』
不意に聞こえてきた声に顔を向ければ、可愛らしい店の外観からは予想できない老夫婦…というにはまだ若いが、それでも50〜60ぐらいのおそらく夫婦が立っていた。
人の良さそうな奥さんと頑固そうな亭主。
一瞬、入る店を間違えたのかと思ったが『何になさいます?ちなみにうちの人が作るカレーは評判なんですよ』と、優しい笑顔で促されそれを頼んだ。
まぁでも、本当にびっくりするぐらい美味いカレーで、失礼だか亭主の顔を2度も見てしまった。
人を見かけで判断しちゃダメだけど、こんな無愛想で頑固者っぽい親父がこんなにも美味いカレーが作れるなんて…。
そう口はださなかったものの、顔にはありありと書いてあったのだろう。