「でもね、私は話したくないから黙ってるの。

口を開けば、説明しようとすれば涙がでて来て上手く話せなくなるから。だから唇ギュッて噛んで泣かないように耐えるの。

そしたら先生はね…こうやってギュッてして背中をトントンってするの。そしたら余計に泣けてくるんだけど、何か落ち着くの…。」


そう言っておばさんを包み、背中をトントンってするとおばさんはもう涙を堪えられなくなって口元を手で覆った。


ごめんね…ーーー。

そう何度も呟きながらおばさんは泣いた。


しかしここは人の往来がある道の真ん中。
そして何より真冬の寒空の下。

涙を流すおばさんを連れて俺たちは家へと帰った。