俺は咄嗟に素直を見た。


どうしようっ!て。
どうしたらいい!?って。
てかどうする!?って思いもこめて。


すると素直は寒さで思う通りに動かない足を地面につけ、覚束ない足取りでおばさんの前に立つとおばさんをいきなり抱きしめた。


そのいきなりの行動に俺は目ん玉が落ちそうなぐらい驚いたが、そんな俺以上に驚いてるのは抱きしめられてるおばさんのようで。


涙は止まったが、代わりに今度は目ん玉が落ちそうなぐらい見開いてる。



「お、おい…?」


恐る恐る、声をかけた俺。


「私が小さかった頃ね、友達とケンカしたら園の先生に怒られるの。


『何でケンカしたの?
どうしてあんなこと言ったの?』って先生はきくの」


だけど素直はここが人の往来がある道の真ん中であることも、寒空の下であることもお構いしにおばさんを抱きしめ突然話し始めた。