これでも仕事が忙しくない時は構ってるつもりだった。
一緒に買い物に行ったり一緒に料理したり。
楽しんでると思ってた。
確かに楽しそうではあったが、素直から『アレしたい』『コレしたい』『あそこに行きたい』『ここに行きたい』ってのを聞いたことはなかった。
俺に合わせるばかりで“自分”を出さない。
遠慮なのか、気を使ってんのか。
気になってはいたが、素直のペースがあるのかも…とか。そっとしておいた方がいいのかも…と俺は様子を伺っていたんだが。
でもそんな素直に少し壁を感じたりもしていて。
だからこんな風に素直から話をしてくれて、自ら壁を壊してくれたなら願ってもないことだ。
俺は二つ返事で了解した。
「良かったな、楽しめることが見つかって。
でも夢中になり過ぎるなよ?
お前は見境ないからな…。
ちゃんと寝ろよ?
気がついたら朝だった…とかなしだからな?」