そう言って微笑む素直を見てると生地の10枚だろうと20枚だろうと好きなだけ、むしろ店ごと買ってやりたい気持ちになった。
素直がやっと楽しみを見つけたんだ。
やってみたいって思えるようなことに出会えたんだ。
それを応援しないわけないじゃないか。
素直と暮らしだして半年が経つが…素直が俺に我儘を言ったことがないんだ。
いつもの調子でふざけたり、憎まれ口や軽口を叩くことはあっても。
我儘を言ったり、俺を振りまわして困らすようなことはなかった。
素直と飯を食いに行くはずだったのに、俺が担当者との打合せが長引いて無理になった時も。
飯作って待っててくれてるのに社長に無理矢理飲みに連れてかれて帰りが遅くなった時も。
怒ってるだろうなぁ…って、申し訳なさいっぱいで恐々帰ったって。
『おかえり』……そう言って迎えたくれた。
人を待つのは楽しいもんじゃない。
イライラもするだろう。
特に俺は理由が理由だし。
それでも素直は怒ることもなく、『お疲れさま』って。