「上手いもんだなぁ…。
俺、今まで裁縫なんてしたことない。

ボタン取れてもそのままだったし、タオルなんて気にしたこともなかった…。あ、そりゃちょっとゴワゴワすんなぁ〜とかは思ってたけど…。でもそれで雑巾作るとかすげぇな、お前…」


丁寧に作られた雑巾をシゲシゲと見る俺を、素直は飽きれた風に見つめ返してきた。


「これぐらい…誰でも出来るよ。
てゆうか、いいの?
こんなとこで遊んでて。
時間、ヤバいんじゃないの?」


早く仕事に戻れと促す素直に終ったことを告げ、明日からはゆっくりできるからどこか行きたいとこはないかと聞いた。


すると素直はパァァ…!と顔を輝かせ「あのね、あのね!?」と食いついてきた。


どうやら大分我慢をさせてしまっていたようだ。


確かに〆切前はせっかく作ってくれた飯もろくに食ってなかったし、会話もなかった。


それに部屋に籠もって集中する俺を気遣ってか物音を立てないように静かに家事をしていたことも知っている。


申し訳ない限りだ…。

だから…ってわけでもないが、次の〆切まではまだ十分時間はあるし素直のしたいことや行きたいところに存分に付き合ってやろうと思った。