「あぁ、悪ぃ悪ぃ。
寝てんのかと思って…。

でもこんな時間に何してんだ?
寝れねぇのか?」


退院してここに来たての頃、素直は慣れない環境からか眠れない日が続いたらしい。


だからまた眠れないのかと聞けば、手にしていた俺のシャツを見せてきて。


「ボタン、取れてたからつけてるの。
それから何枚かくたびれたタオルがあったからついでにもう雑巾にしちゃおうと思って。」


「へぇ〜?すげぇな。
お前、そんなこともできるんだ?」


どれどれ…と、素直の横に座って出来上がった雑巾を手にした。


一緒に暮らしだして気づいたんだが、素直は案外器用だ。


ずっと独りだし昔からやってるから一通りのことはできるんだと豪語するだけのことはあって確かに何でも出来る。


料理も美味いし、俺好みの味つけを覚えてもくれた。