だけど素直はタッパーのフタを持ったまま。
ただ中身をジー…と見つめていて。
「カレー…作ってくれたんだ…」
そうポツリとこぼした。
俺が昨日の帰り道に思いついたこと。
それはーーー…。
素直に俺の作ったカレーを食わしてやろうと思った。
あの店には俺と揃って行きたいと言ってくれた。
俺と行ってカレーを食うのが当面の目標なんだと言ってくれた。
だけど俺はそんな素直にしてやれることは何もなくて。
毎日毎日リハビリルームに通い、汗水垂らして頑張るあいつを俺は見てることしかできない。代わってやれるわけじゃないし、歩けるようにしてやれるわけじゃない。
一番近くにいるのに、一番無力だ。
ただ毎日ここへやってきてリハビリルームへ車イスを後ろから押して連れて行ってやることしか俺にはできない。
あいつにために何かしてやりたいって思うのに、気持ちだけが先走って実際は何一つだってできてない。