当たり前のことだけど、このリハビリルームには多くのリハビリ患者が集まる。
その中で素直だけが特別扱いなんてできないからちゃんとみんなに混じってリハビリをしている。
でも中には『トップモデルのNaoがリハビリしてる!』って好奇の目で見てくる奴もいて。ひどい時にはリハビリルームに関係ない奴までもがわざわざ見にきたりもして。
今日もそうだった。
どこが悪くて入院してんのか知らないが、見るからにはどこも悪くなさそうな若い奴らが飲み物片手にニヤニヤしながらガラス張りになってるリハビリルームの廊下から中を…いや、明らかに素直を見ていた。
俺は我慢の限界だった。
だって失礼だろ!?
真面目にがんばってんのに、ジロジロ見るなんて。
しかも素直はもう一般人なのに。
だから文句のひとつでも言ってやろうと、立ち上がって出入口まで歩き出した俺を素直は止めたんだ。
「何でだよっ!
こいつら、ここでリハビリ頑張ってる人らに失礼だろっ!?」
俺のその怒鳴り声はリハビリルームの全員の動きを止め、ムカつくギャラリーの奴らまでもが俺に注目した。
おかげでシーン…と静まりかえった中で素直は…。
「病院生活はヒマだからね、しょうがないよ。」
…って、ヤレヤレって感じに呟いた。