素直はあれから本当にリハビリを始めた。
もちろん、俺も一緒に。
………とは言っても、実際はリハビリルームの隅から見守ってるだけなんだけど。
どうやら俺はあまく、そして足でまといなんだそうだ。
最初の方はあいつの体を支えたり、転けそうになったらすぐさま起こしたり…と、付かず離れず甲斐甲斐しく手伝ってたんだけど…。
「そんなにすぐすぐ助けられてたんじゃ意味ない」とか。
「気が散るからもうこないで」とか言われ…。
今じゃこのリハビリルームの壁から無言で見守り、心の中でエールを送るしかなくなってしまった。
リハビリって言っても、すぐに歩行訓練を始めるわけじゃないらしい。
歩いてないと足自体が退化するらしく、筋肉が落ちてとてもじゃないけど体を支えられないらしい。
そもそも、歩くとか立つとかって動作を支えてるのは足そのものじゃなくて腰なんだって。
だから歩行訓練の前に筋肉をつけるとか、腰周りの強化をするんだそうだ。