十分、大したケガなのに相変わらずな彼女にもはやため息しか出ない。
「でもね…気づいたんだぁ…」
内心飽きれてたのに、ちょっと寂しそうな声をだすから聞かずにはいられなかった。
「落ちて、起き上がろうとしたんだけど左手は痛いし頭は痛いしでね?起き上がれそうになくて。だから助けを呼ぼうと、ナースコールを押そうとしたんだけど…残念ながらこれまた届かないのよ」
「………。」
「だから床に転がっててさぁ…?
なんて無様なんだろうって思った。
足は動かないし、自分で立ち上がってベットに戻ることもできなくて。
私はこれからこうやって誰かに助けてもらわなきゃ生きていけないんだなぁ〜って…思った」
「………。」
子供じみてるけど。
助けてもらう人を“誰か”って言ったのが気に食わなかった。
俺じゃねぇのかよっ!て。
俺を頼れよっ!って。