そう思った矢先ーー…。
「でも…ね?」
消え入りそうな程か細い声が聞こえて俺をとどまらせた。
「あんたは…違うの。」
「……どういう意味だ…?」
「あんたは…頼んでもないのにほぼ毎日ここへやって来て。特に何かするわけじゃないけどいつもそのパイプイスに座ってて。一緒にご飯食べて夕方の再放送ドラマ見ながら文句言って…。
知らない内にあんたは…私の“日常”だった。」
「……え?」
「それが急に来なくなって…。
もちろん仕事なのはわかってるけど、いつも通りじゃない日々に…ちょっと調子狂っちゃって…。
それで…一昨日の晩ね、満月だったの」
「……!?」