そんな俺とは逆に、至極ご満悦な彼女は。
フフフ…って笑ってから視線をシーツに落として。
「恥ずかしい…話なんだけどね…?」
ポツリ…そうこぼしたその一言に。
何となくだけど…さっきまでの頑なに語ろうとしなかった彼女とは違い、何かを打ち明けようとしているように思えた。
俺の方を見ずに話そうとするところが、俺に背を向けて秘密を打ち明けてくれたあの日とどこか同じ空気を感じたから。俺は黙って耳を傾けた。
「人を好きになったこと…ないの…」
「……ん!?」
「あ、“彼氏"って呼ばれる人がいたことはいたけど、その人を『好きか?』と聞かれたら…答えれない」