今、目の前に映し出されてる昔の彼女の映像と、俺だけが知ってる彼女。
それから…今現在の彼女が一瞬の内に頭の中を駆け巡って…。気がついたら俺は涙を流していた。
彼女は誰より美しく、そして気高い。
努力家で負けず嫌いで。可愛い気なんて微塵もないけど、でも本当は笑ったら…最高に可愛いんだ。
口は悪いし、大食いだし。遠慮がないし、毒舌だし。
あいつと過ごした、ほんの僅かな時間だったかもしれないけど、でもその中で俺は何度も『こいつこんなんで本当にトップモデルなのかよ!?』って思った。
だけど、それでもやっぱりあいつには…引退なんてしてほしくない。
諦めて欲しくないんだ…−−−!!
俺は帰りたい方向とは逆に、今来た道を引き返すと駅前のタクシー乗り場に急いだ。
行き先なんて決まってる。もちろん、彼女の元だっ!!