返事がなかったからてっきり寝てるもんだとばかり思っていた彼女は枕を背もたれにしてベットに寄り掛かるように座っていて。
窓の外に広がる真っ赤な太陽がゆっくり沈んでいく様をただボー…っと眺めていた。
まさか起きてるとは思わなくて。声をかけるのをちょっと躊躇った。
でもドアを開けた音で部屋に誰かが入ってきたことはわかってるだろうに。
遠藤が帰ってきたとでも思っているのか、彼女はこちらを見ようとはしなくて。
俺もいつもみたいに「よぉ!」…なんて気軽に声はかけられなくて。
だから窓の外を眺める彼女を俺はただただ見つめていた。
元々細かった彼女は事故でさらに痩せて、骨に皮がついてるぐらいにしか見えない体が痛々しい。
頭にも、病院指定の服の袖から除く細い腕にも包帯が巻かれていて事故の壮絶さを物語っていた。