モデルとして美しくあることは当たり前だが、その外見だけでなく才能や実力と言った内面から溢れ出す魅力にファンのみならず、デザイナーまでもが引き付けられているそうだ。
そう褒めちぎりまくる社長もその彼女の魅力とやらに取り憑かれ…もとい、引き付けられている1人なのだろう。
「は〜」とか「へ〜」とか「ふ〜ん」とか。
延々と語る社長の話に相槌をうつのも段々疲れてきた俺は『じゃあそんな彼女が何で一筋縄でいかないんだ?』と核心に触れてみた。
するとピタッと話すのを止め、スッ…と目を細めると。まるで怪談話でもするかのように声のトーンをいくらか落として話し出した。
「それだけ注目を浴びている彼女について誰もが知りたがった。
だけど彼女についてわかっているのは…“Nao”って名前と歳だけなんだ」
「……ん??どういう意味っすか?」