−−−−…。
−−−−−…。
カラン、カラン…−−。
「あら、いらっしゃい」
いつものように優しい声で迎えられ、無謀にも家から走ってきた俺はハァハァ言いながらカウンターに手をついた。
「お、おばちゃ…み、水…!」
フラフラと、覚束ない足でカウンターに座ると。
「そんなに急いでどうしたの?走ってこなくてもうちは逃げないわよ?フフフ…はい、お水。」
クスクスと笑いながら出された水を一気に喉に流し込んだ。
くそ…!体が重い…。
歳は取りたくねぇな…。
上がった息を整えながら頭の隅でそう思った。
「いつものカレー?」
まだ話せる状態にない俺にそう聞いてきたおばちゃんにコクコクと頷いて了承の意を伝えると。
俺は改めて店内をぐるりと見回し、彼女の姿を探した。