自分の中で何とも言えない葛藤を繰り返しているうちに彼女はさっさと会計を済ましていて。
すでにコートも着ていて、もう扉を開け外へ出ていくところのようだ。
俺はその後ろ姿を見たくなくて、空になったコーヒーカップに目を落としていると…−−−。
「……ねぇ、ライターさん」
「…………え?」
「今の話、立派な対談記事になると思わない?
『スーパーモデルの大好物』…なんて見出しでどう?」
「……えぇ!?」
「あんたんとこの社長さんには正直、ムカつくわ。
誰だって見た目や先入観で判断されたくないもの。…そうでしょ?
でも…あんたも被害者…みたいなもんだしね。私、お高くとまって見えるかもしれないけど鬼じゃないから」
「…………。」
「……楽しみにしてる。私の初対談記事」