「Naoさんの演出も手伝ってショーは大成功。
まぁ有名デザイナーなんだし成功して当たり前なんだけど、その日は特に“奇跡”を目の当たりにしたみんなが興奮しきってたって。
スタッフもさっきまでおもしろくなさそうにしてたモデル達も。主役のデザイナーでさえもが満面の笑みで。
そうしてみんながバックに戻ってきたら…さっきまで大騒ぎしてた無くなったはずのNaoさんのドレスが机の上に置いてあったの。」
バカな犯人よね。
隠し通せばいいのに、今更出すなんて−−−…。
真由美ちゃんは忌ま忌ましそうにそう吐くと、すっかり溶けた氷で薄くなってしまったカクテルを煽った。
−−−−…無造作に置かれた着られることのなかったそのドレスを目の前に、みんなはさっきまでの浮かれ気分は消え失せ口を閉ざしておし黙った。