健太は、まだ気づいてない。

あの二人も、夢中で花火を見ている。

あたしは動揺を抑えて、空を見上げる。



大きく打ち上がった花火が、キラキラ光を残して散っていく。

そして、また闇が広がる。

あたしは無意識に健太の指を軽く握っていた。

それに気づいた健太が、あたしの手をギュッと握る。



あたしは、幸せでしょ?

こんな優しい彼がいて…

なのに、なぜか胸が痛む。

あたしは健太の手を握って、うつむく。

ふと顔を上げた時、唯香ちゃんが振り返った。